ゴミパソ再生術

2016年7月13日水曜日

【Tips】お手軽に Win機で git や GitHub を使う

またしても忘備録的メモです。
GitHub を使う必要があり、まず、 git(ギット) や GitHub の概念を予習。



あたりがわかりやすかった。ざっくりいえば、

  git はローカルリポジトリでのプロジェクト管理コマンド群

  GitHub は git プロジェクトに対応したリモートのリポジトリ
    (クラウド型サービスといったらいいか?)

ということらしい。GitHub にはけっこうお世話になっているが、裏ではこんな感じで運用されてたんですか。知らんかった。今まで、プログラム落としてばっかりでごめんね (_ _)

ところで、今回はそんなにがしがし使う必要性がなかったので(さる筋から頼まれたからプログラムを上げて、たまに更新するだけ)、日常使いの Win機(ノートPC)でなんとかしたかった。
 ところが、ネット上で調べると Git For Windows を使えだの SourceTree を使えだのという記事ばっかり。開発用のモンスター級のデスクトップ機持ってたら、これでいいんでしょうが、非力なノートPCに入れる気はまったくおこらず、この路線はすべて却下。

 幸いなことに愛機(XPS13)には、VMware Player 上に Ubuntu が走っているので、ここから、git を使うことにした(というかもともと使えるようになっている)。

  まず、GitHub にアカウントを登録。当然、二段階認証はオン。SSH接続させたかったので Ubuntu で秘密鍵と公開鍵つくって、公開鍵を GitHub アカウントに登録。ターミナルから
   ssh -T git@github.com
で、SSHで接続されているか確認。

 次に、適切なところに git で管理したいディレクトリを作成。ホストOS(Win10)との共有フォルダから必要なファイル・ディレクトリをここにコピー。後は Unix 系 git のお作法にしたがって、ローカルリポジトリを作成し、GitHub に push 。

 commit だの add だのでてきて、最初は慣れなかったが、使っていくうちになんとなく使えるようになってきた。単純に上げるだけなら以下のような形式化された手順ですむ。具体的には以下の通り。

 1.git init でフォルダ内プロジェクトの初期化
 2.git add LICENSE(だとかフォルダ名だとか) で必要なファイルをインデックス?に追加
 3.git commit -m "UPDATE(とかわかりやすいコメントをつける)" でコミット。

ここまででローカルのリポジトリは、ひとまず完成。次にリモートに上げる。

 4.最初に上げる場合は、
         git remote add origin git@github.com:user_name/repository_name.git
   でリモートリポジトリ名を指定。
 5.最後は git push -u origin master でリモートに上げる(サーバーの応答はけっこう高速)。

実際に開発して管理するとなると大変そうだが、今回の案件だとこんなもんですんだ。

 もうちょっと突っ込んだ使い込みをしたい場合は、やはり成書が必要でしょう。『Git ポケットリファンレンス』が評判よいようです。



2016年7月11日月曜日

【Tips】VM上の Ubuntu とホストOS(Win10)でファイルの共有

メモです。
タイトルのようなことをやりたかったのでググる。
ここがわかりやすかった。優しいパパさんなんだろうなあ。

たいていの場合、VMwareTools は入れてあるだろうから、後は設定の問題。

[手順] VMwarePlayer 側「管理」→仮想マシン設定→『フォルダの共有』で「常に有効」

で共有したフォルダのありかは、 /mnt/hgfs/ 以下。

まさかこんなところにあるなんて...


2016年7月9日土曜日

Google の追加アカウントを削除する方法

なんやかんやで android ユーザーになったオイラではあるが、いまだに慣れない部分も多い。

用心のために予備のアカウントをつくったのだが、ここで痛恨のミス!

hogehoge@gmail.com とすべきところを hogehoga@gmail.com みたいにしてしまったのだ(アカウント名はあくまで例えですよ、念のため)。このまま使ってもいいのだろうが自分の身体に無害な寄生虫を飼っているみたいで気持ち悪い。そこでこの駆除を試みた。

PC上からの削除は簡単だ。Chrome からアカウントの選択画面に入って、「アカウントを削除」してしまえばいい。

問題は、android 上の Gmail アプリから、このアカウントを削除すること。当初は簡単だろうと高をくくっていたのだが、なかなかできない。しょうがなく「android Gmail アプリ アカウント 削除」なんかでググったが、「非表示にはできない」などという戦意を喪失させる意見も多かった。

が、結論から言うとこれは完全に削除できる。(たまたまできたといった方がいいだろうか)

適当にやったので、完全ではないが、手順をメモ。


android の Gmail アプリ内からアカウントを削除する方法

1.まず、android端末のGmail アプリを立ち上げる。もちろんそこには削除したはずのアカウントがしれっと表示されている。こいつめ・・・。

2.ここで、「アカウントを管理する」をタップ。すると「アカウント」画面に遷移する。「G Google」と「+ アカウントを追加」の項目が出てくる。当然、「G Google」の方をタップ。

3.そうすると画面には、今まで作成したアカウントと「ログインとセキュリティ」・「個人情報とセキュリティ」・「アカウント設定」といった項目が並んでいるはずだ。「アカウント設定」にいきたいところだが、ここでは削除したいアカウント名をタップ。

4.すると「同期」画面に遷移し、上部にはメニューが出現している。



タップすると「今すぐ同期」と「アカウントを削除」の項目が。念のため、同期をすべてオフにして「アカウントを削除」をタップ。すると、注意画面がでてきて注意書きの下に「キャンセル」と「アカウントを削除」と表示される。もちろん後者をタップ。

一瞬、画面がブラックアウトし、これは壊れたか?!と微妙に動揺したが、2~3 秒後には回復し、通常画面に戻る。確認のため、再度Gmail アプリを立ち上げるとしっかりアカウントは消えている。

よかった...(涙)


なお、その後

本体「設定」からアカウントを削除する方法

も見つけたが、こちらの方が簡便かつ汎用性があるかもしれない(インストールされているメールアプリの任意のアカウントを削除できそうだから)。
さらっと書くと、「設定」→「アカウント」→「G Google」で上記、3.に合流できる。後は同手順でいけると思う。


それにしても、android 端末の作り込み(と google 側システムの設計ポリシー)には考えさせられるところがある。基本的にアカウントを中心に環境を整えているという感じがする。
 端末に当該アカウントの情報を保持する。
 サーバー側システムにも同一アカウントの情報を保持する。
 このままでは情報の同一性が担保できないので、WiFi や LTE 回線を通じて同期を取る。
この設計思想だと、システムに何か不都合がおこった場合(例えば、ユーザーが誤った操作をした場合)、同一性を回復させるのにはやや煩雑な手順が必要になるが、情報データは少なくとも二か所に保持されているので情報データ自体はまったく消え去ることはない(さらにご丁寧にも google は、サーバー側でバックアップも取っており、情報データを復活させる手段も提供している)。また、これなら、同一端末に複数のアカウントを持たせることも可能だろう。
情報インフラ関係とかはあまり詳しくはないが、なんというか根底にある設計思想が合理的な印象を受ける。
表面的な操作性はさておき、何か問題がおこっても複数のやり方で対象を復旧できるというのは、たとえ相手が人間とは異なる原理で動いていても、「なんとかなるさ」的な安心感を与えてくれる。
こういう設計は僕みたいな人間にとって有り難かったりする。

2016年7月8日金曜日

androidスマフォに入れておいた方が良いアプリ(基礎編)

それほどのヘビーユーザーでもないが、android は自分の目的・環境に合ったアプリをいれないとフラストレーションがたまっていく。

自分が使った限りでのおすすめアプリをいくつか紹介。

ATOK日本語入力 google日本語入力が肌に合わなかったので、こちらを試しに入れてみた。フラワー入力が便利だったので後に正式版を購入。1543円が高いという声も聞くが、ジャストシステムは端末から変な情報を収集しないとはっきりうたっているので、これはしょうがないでしょう。

Poweramp まだ、全然使い込んでいるとは言えないのだが、細かな設定ができるので便利。音楽ファイルをどこのフォルダから読み込んでくるか設定できるし、再スキャンも楽。アルバムアートワークの入手は(タグ編集さえしっかりやれば) iTunes より優秀。

ファイルマネージャー 端末のストレージ容量が今一つなので、必然、ファイルマネージャーのお世話になるしかない。で、いろいろ試してみた結果、これが一番使いやすかった。同名のアプリはけっこうあるが、これは ASUS チームが開発したもの。

通話レコーダー 他にも同種のアプリは山ほどあって試したが、設定が細かくでき動作が安定していたので、結局、最後まで生き残ったのはコレ。日ごとにフォルダをつくってくれるので、管理が楽。ただし、直接外部ストレージには記録できないようで、その際、上記のファイルマネージャーでせっせっと移動させてます。(重要なのは母艦に移動)

他、動画プレーヤーなども必要かもしれないが、端末にデフォルトでついていたメディアプレーヤーがけっこう優秀だったのでそれを使っている。スクリーンショット系も同様。

あと、個人的にツボったアプリは

toNote iPhone使用時には touchwriter という手書き入力メモ帳を愛用していたのだが、android には無し。やや不自由な日本語の説明と「アプリ内購入」の文句にびびりながらもインストール‥‥。が、これが、使いやすい! メモできる領域が広いので慣れてくると touchwriter より便利かも。設定などは中国語表記だが、直観的に使えるので不自由は感じない。「アプリ内購入」とあったのは、メモ領域の下地がオプションで買えますよということだった(まったくの無地や罫線入りが $0.99 で購入できる)。

やや不自由な日本語、中華製、蓋を開けてみれば良心的な「アプリ内購入」・・・。なんていうかこのこの放牧感がたまらない。

これぞアンドロイドアプリ!



ちょっと感動したのでスクショもアップ。

ちなみに画面下部分が手書き入力部分です。

この記事自体も草稿はこれで書いてます。

気分一新、android な日々

なんやかんやあって、結局、スマフォはアンドロイド機に乗り換えた。

シャープの小型機。エクスペリアでもネクサスでもなく、AQUOS。おそろしく地味な端末だが、様子見ということで。

最初は慣れなかったが、これはこれでありだなと思うようになってきた。

iTunes の呪縛から逃れて、どのPCからでも自由に音楽や動画を入れられるのは嬉しい。普通に通話録音できるのは便利(ただしアプリは必要)。機種にもよると思うが、少々雑に扱っても壊れない。

などなど。

あと、販売店の人に「iPhone の方がセキュリティがしっかりしてますよ」みたいなことを言われたが、まあ、確かに、指紋認証などの点はそうかもしれない。が、アカウントID自体の2段階認証はグーグルの方がシンプルかつ一貫性があって使いやすいと思う。MSは操作がやや煩雑だし、件のアップルは、iOS系 と OS X 系で挙動が異なるという謎な動きをする(半ば仕事で使っている古い Mac mini だと、何の問題もなく以前に購入したアプリがアップデートできた。が、MacBookPro ではキャピタンに乗り換えた際、OSにバンドルされているはずのアプリでさえ一部がアップデートできなかった←この時点で日本のサポートは沈黙し、「私たちには手に負えないので‥」みたいな話になり、以後音沙汰なし)。


ところで、せっかくアンドロイドに乗り換えたのだから、Android Studio を触ってみたいと思い、実行した。インストール自体は Windows機の方が簡単。Mac はどこに Java の sdk があるのかわかりにくくて、今後、手を出したくない。Ubuntu のように /opt 配下に置いて JAVA_HOME を定義、パスをエクスポートする、とかなんとなくお作法のようなものがあればいいのだが、ここらへんちょっとググってみたが、みなさん頭を抱えていて上手く説明してある記事はみつからなかった。最近の OS X は SIP といい、なんかもう Unix 濃度が薄くなっていってる。

インストール方法は、ネットで情報が落ちているので省くが、QHD や 4K のディスプレイを使っていて画面の倍率を変えている人はちょっと注意が必要かもしれない。私の環境だけかもしれないが、デフォルトの設定では、エミュレーターで新しいプロフィールがつくれなかった(AQUOS はマイナーなので、プロフィールが用意されておらず自分でつくるしかない。シャープのサイトでもいけばプラグインがあるかもしれないが、面倒なのでスルー)。よくわからなかったが、Android Studio 2.1 上でメニューバーから File>Settings>Appearance でフォントのサイズを 17 から 12 にしたらなんか、正常に動くようになった(なんでだ? たまたま?)。


なんやかんやでエミュレーター起動。おお、かっこいい。



ホームにある六文銭みたいなアイコン(ドロワーというらしい)をクリック。すると作成したアプリ Test00 がしっかりはいっている。



なお、このとき開発環境がタッチ対応だとエミュレーターもこれにしっかり対応してくれる。内部的にはかなり複雑な処理をしているはずなんだが、なんか、実機よりさくさく感がある(笑)。
すごいぞアンディオ!(勝手に略)



で、定番「Hello World!」が実行できましたとさ。




追記:OS X は、タッチ対応は実装しないと明言しているので、ちょっと触る程度だったら、タッチ対応の Win機で Android Studio 開発環境つくった方がよいような気がする。テスト用の実機を持っていれば話は別ですが。個人的には、安めの android タブレットを実用/テスト用で欲しいなあ。まだ、使用していないのでなんともいえないが、iOS のピクチャ・イン・ピクチャが思った程でなかったので(ミニ画面がなんで4隅固定なの?)、タブレットでここらへんがカスタマイズ可能なら、iPad から乗り換えたい。

アップルIDが乗っ取られた場合の対処法

 おそらく iPhone の爆発的普及で一時期、apple ID の乗っ取りが止まらなかったことがある。確か、日本でも4000件程度あるとどこかのメディアが伝えていたが、どういうわけかこの情報はそれほど拡散しなかった。

 しばらく沈静化していたと思っていたのだが、今年(2016)に入ってからもまた再流行の兆しがあり、知り合いも何人か乗っ取られたそうだ・・・。

 って、他人をダシにしてもしょうがないか、はっきり言うと私も乗っ取られたんですけどね、今春。ただ、私の場合、

1.いつもなら、アカウントに変更を加えた際、迅速に飛んでくるはずのアラートメールが届いていない。

2.三つの質問、そのものも書き換えらえたようで本人確認ができない。

3.購入したアプリ・楽曲・オーディオブックなどは iPhone (つまり、iOS系)からは再ダウンロードできないが(まあ、当然だが)、Mac mini (OS X系)からはアプリがアップデートができる、という不可解な挙動をしめす。

とえらく変な状況になっていた。

 なお、アップルサポートはまるで役に立たなかった。おそらく日本のサポートはシステム全体を把握する教育も受けておらず、システムレベルで何かの変更を加えるということができないのだろう。

 私が注目しているのは特に 3.の点で、何かシステムレベルでおかしなことがおこっているように感じた。もうちょっと暖めてから、何ができるか考えたいと今は思っている。


 ところで、事態が発覚した直後は、かなりテンパってたわけだが、販売店でご厚意でかなり救われた。
 かなり荒んだ心境で販売店に相談しにいくと、神のような対応が待っていた。
 けっこう年配の人が対応してくれて、iPhone端末をいっしょに操作。不具合(上記以外にも不具合は山ほどあった)を確認すると、こちらの言い分を静かに傾聴。そして第一声が「原因がシステムか端末かわかりませんが、欠陥であることは間違いないです。すぐに対応をかんがえます」という嬉しいお言葉。すぐに関係部署に電話をかけてくれて(まだ2年縛りが残っている段階にも関わらず)「違約金なしで(アンドロイドなどに)機種変更してもらってもけっこうですし、iPhone の新商品と交換してもらってもけっこうです」という神対応。一応、警察にも相談していることを伝えると、「それが一段落ついた後でも、お客様にご不便をおかけした以上、そのように対応させていただきます」と力強く言い切ってくれた。
 私のような年代からすると、あーこういうのが一昔前の日本の美徳みたいなものだったよなー、と懐かしく思った。今でもこういうスタンスで仕事をしている人がいたんだと嬉しくなった。

 これは推測でしかないのだが、apple ID の乗っ取りは頻繁に起きており、作り手の主張とは裏腹に iOS系のデバイスと OS X系のデバイスの連携はシームレスにはできていないんじゃなかろうかという気がする。あまり詳しくはないのだが、SIP あたりを手掛かりにここらへんを解決していく途上なのではないかと思っている。


技術オタはこういう文章に萌える

過去に書き散らかしたものをまとめていきます。適宜、加筆修正。

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 元理系ちゃんなので科学技術関係の話題は興味がある。書店でチェックするコーナーの一つだ。ただ、日本の場合、サイエンスライターの育成が不充分なためか、面白い、と言える記事になかなか巡り合えない。物理の分野では1900年代初頭の量子力学の成立期などは時代自体がドラマチックで誰が書いてもそれなりに面白かったりするのだが、もうちょっとマイナーな領域になると書き手の層が薄いせいかテキストの質や量ががこんと低下する。
  そうはいっても稀に質の高いテキストに出会えるときがあるわけで、それはなにも成書であるとは限らない。以前、そう、確か’91年当時、日経新聞に現代の科学者の評伝記事が連載されていて、なかなか面白かった。成書としても出版されたようだが残念ながら今は絶版になっている。この手の分野で高揚感が得られる文章というのは貴重だと思うので抜粋を紹介しておこう。

 「    シモン・ファンデル・メーア ―素粒子発見に貢献、ノーベル賞受賞― 

 素粒子物理学は、各国よりすぐりの頭脳が猛烈な先陣争いを展開する”科学の激戦区”だ。物質世界を支配しているあらゆる力の源泉は何か。宇宙の誕生時にはいったい何が起きたのか。究極の宇宙構造を探り出すために、巨大な粒子加速器を使って、研究者たちの苦闘は続く。

  この分野でノーベル賞を得るのは野心満々で攻撃的な物理学者と相場が決まっている。事実1984年にファンデル・メーアと共同受賞したカルロ・ルビアは、現代で最も野心的な物理学者の一人だ。目立つのを嫌い、温厚を絵に描いたような性格のファンデル・メーアの受賞は、きわめて異例のことだった。

  温厚なオランダ人ファンデル・メーアが CERN に入ったのは技術者としてであった。様々な粒子を容器の中で加速し、蓄え、衝突させることで、ほんの一瞬、未知の粒子がこの世に姿を現す。それを捕らえて解析するのは物理学者の仕事。ファンデル・メーアの分担は精緻で効率的な装置を開発することである。

  加速器物理学、加速器工学と呼ばれるこの分野でファンデル・メーアがつくり出した新システムは、枚挙にいとまがない。素粒子物理学で先行していた米国に対して、欧州勢が巻き返しに成功したのは、この卓抜な技術者がいたからだ。「欧州にあって米国にないのは、ファンデル・メーア」ともいわれた。

  「ノーベル賞はラッキーだった」という彼の言葉には、独創的な技術者としての強烈な自負心と、縁の下の力持ちに徹してきた控えめな人生観の、奇妙な融合が感じられる。引退した今、ファンデル・メーアは手紙の末尾に「エンジニア」と書いて署名する。科学を傘下に置いた技術者の誇りである。

  きれいな粒子ビームの取り出しという、当時の物理学の研究を飛躍的に進歩させる装置の開発に次いで、CERNにファンデル・メーアありと世界に印象づけたのは「ニュートリノ・ホーン」の発明だ。

  ニュートリノ・ホーンは、アルミでできた巨大な角笛(ホルン)のような格好をしている。アルプスホルンの本場、スイスでオランダ人の手によってこれが完成した。

  加速した陽子をタングステンなどに当てると、そこから生じるパイオン粒子がミューオンとニュートリノに分かれる。ニュートリノはそれを生み出すパイオン粒子の流れに沿って飛ぶ性質がある。ニュートリノホーンは、荷電粒子であるパイオンを強い磁場で角笛の中に収束させ、それと一緒にニュートリノを集める。これで方向がある程度そろったニュートリノのビームが誕生するわけだ。卓抜なアイデアである。

  無理なものは無理、押してもだめなら引くというのが、彼の発想の根源にある。常識にとらわれると、位置も方向もスピンも人間の意のままにならないやっかいな粒子たちを支配するのに、磁場など強い力を使って制圧しようとする。しかし、ファンデル・メーアは決してこうした”軍隊”による侵攻を選ばない。わがままな素粒子たちと折り合いをつけるのに、柔軟な”外交”で対処する。難問を力づくで解くのではなく、解答を出しやすい別の問題に置き換えてしまうのである。

  CERN に大型のコンピューターシステムが導入された直後、ファンデル・メーアはいちばん長くキーボードの前に座っていたといわれる。しかし、旺盛な好奇心と進取の気性は、穏やかな笑みの中に包み込まれて表には出てこない。彼と話していると、特異な思考パターンや強烈な自我が必ずしも最先端の科学者の条件ではないことがよくわかる。

 科学は心やさしい市民にも大きく開かれている。」 

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んー、今読んでも色褪せない文章。

これテクニック的にも優れているね。解析してもしょうもないのだが、

・一般の人には近寄りがたいと思われる素粒子物理学を「科学の激戦区」というフレーズをキーにして興味をひきつける。ここでお堅い内容は一切触れない。

・人となりを淀みない文章で紹介した後、「科学を傘下に置いた技術者の誇りである。」とこの人の特徴を一文で締める。

・技術的な部分の導入でも「アルプス スイス オランダ」と地名を列挙し、読者の興味を逸らさせない。

・業績のコアとなる部分にわかりやすい対比的なフレーズ(「軍隊による侵攻」と「柔軟な外交」)で喩える。科学業界に世界情勢的なフレーズを用いている。

・最後に再び人となりに触れた後で、「科学は心やさしい市民にも大きく開かれている」で着地。

お見事!






某所より移転中

さて、引っ越し、引っ越し。